小どもの頃の一番怖かった出来事

周りに霊感があるという人はいるだろうか? 僕には小学、中学と仲がよかった友人に霊が見えるというやつがいた。ふざけた性格できかん坊なやつだったが、霊の話となると真剣な顔になる。だから「本当なんだ……」と信じる子は多かった。僕もかなり信じていた。

小学5年生の時だ。夏休みの子ども集会でお寺を使って肝試しをした。しかしそれは子供だましのお遊びなので怖くもなんとも無かった。彼はよく言っていた。「お寺は意外と幽霊ふざけてこないよ」
と。そこで彼は、「本当に怖いところに連れて行ってあげようか?」とも言い出した。

後日、彼と僕、その他数名の友だちで地元の不気味な廃墟に行った。高い煙突がそびえる工場跡で、ウワサによると経営者が奇怪なトラブルに巻き込まれてつぶれてしまったのだとか。あまり良い印象ではないので、これまで僕らは近づかないような場所だった。

薄暗くなりはじめた夕方、彼と一緒に僕らは廃墟の中に入った。ところがだ、途中で彼は立ち止まった。そして言った。

「ごめん。ここ危なすぎる。帰ろう……」

顔面真っ青にして言った友人に誰も反論はせず、素直に引き返した。

これと言って恐怖現象が起きたわけではなかったが、小どもの頃の思い出では一番怖かった出来事だった。

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